
暗号資産投資の人気が高まるなか、新しい取引所やプラットフォームが次々と登場しています。しかし、その中には利用者を欺き、資金を奪うことだけを目的とした詐欺的なサイトも少なくありません。本記事では「Mirprogex」という名前で活動する怪しいプラットフォームについて、公開情報をもとに徹底的に検証します。
Mirprogexとは何か?
Mirprogexは自社サイトで「暗号資産取引、先物契約、USDT建ての無期限契約、コピートレードが可能」と宣伝しています。利用はウェブ版のみで、デスクトップアプリやスマホアプリは存在しません。アカウント作成はメール登録かウォレット接続で行えると説明されています。
一見すると一般的な取引所のように見えますが、詳細を調べると数々の矛盾と不審点が露呈しました。
SEC規制を名乗るが根拠なし
公式サイトには「SEC US regulatory license」というページがあり、あたかもSEC(米国証券取引委員会)の監督下にあるかのような記載があります。住所も「コロラド州デンバー1312 17TH STREET SUITE 890」と明記されています。
しかし、実際に確認できるのは以下の2点だけです。
- コロラド州での法人登記(2025年8月19日付)
- SECへのForm D提出(2025年9月4日付)
Form Dは単なる「私募証券の通知」であり、監督や承認を意味するものではありません。つまり、Mirprogexが主張する「SEC規制下」という表現は誤解を狙ったものにすぎないのです。
利用規約の異常な内容
Mirprogexの利用規約を読むと、普通の企業ではあり得ない記述が目立ちます。
- SECを“法律や裁判所”と誤記:SECは規制機関であり、裁判所でも法律でもありません。
- 相反する表現:「SECに登録していない」と書きつつ、「SECの法律に従う」と記載。
- 管轄の矛盾:香港法と香港国際仲裁センター(HKIAC)を適用すると書きながら、同じ条項に「SEC裁判所の管轄」とも記載。
- 責任制限:「万一の場合でも、補償は支払った手数料分まで」と明記。ユーザー保護を完全に否定。
- 一方的な改定権限:「契約はウェブに掲載された瞬間に有効」とし、ユーザーの同意を事実上不要に。
- 集団訴訟放棄:ユーザーが集団で訴える権利を剥奪。
これらの条項は、ユーザーを不利な立場に追い込む典型的な危険信号です。
チーム情報の信頼性ゼロ
さらに驚くべきは、公式サイトに掲載されている「経営陣」の顔ぶれです。
- **Donald Trump Jr.**を会長と記載
- Michael Sonnenshein(Grayscale CEO)をCEOと表記
- Stani Kulechov(Aave創業者)をCBOと記載
- しかし写真が入れ替わっており、実際には他人の顔が使われている
有名人の名前や写真を勝手に利用しており、虚偽の経営陣表示である可能性が非常に高いです。
運営実態の薄さ
第三者データによれば、Mirprogexの月間アクセス数は100未満。まともな暗号資産取引所としては考えられないほど利用者がいません。さらに:
- SNSアイコンは表示されているが、リンク先が存在しない
- 出入金方法の詳細説明はなく、「電子ウォレットに対応」としか書かれていない
- 連絡先メールは[email protected]というフリーメール
プロフェッショナルな金融サービスとしてはあり得ないずさんさです。
ユーザーにとってのリスク
Mirprogexのようなプラットフォームを利用した場合、以下のリスクが考えられます。
- 入金資金を引き出せない
- 規約の不備を口実に責任を逃れる
- 個人情報やウォレット情報が流出する
- 実態のないチームによる資金持ち逃げ
まとめ:Mirprogexは避けるべき
Mirprogexは表面的には「SEC規制下のグローバル取引所」を装っていますが、実際には登記と通知しか存在しない会社であり、利用規約・経営陣・運営実態すべてに深刻な疑問があります。
暗号資産取引所を選ぶ際は、
- ライセンス番号の有無
- 運営会社の実在性
- 利用者のリアルな評判
を必ず確認してください。少しでも怪しいと思ったら、絶対に資金を入れないこと。Mirprogexはその典型的な危険例といえるでしょう。