今週、金(Gold/XAU/USD)は1オンスあたり4,000ドル近辺での揉み合いが続いており、上昇トレンドの中で“調整入り”の気配も見え始めています。年初から金は大幅に上昇しており、市場では「インフレヘッジ」「米ドル弱気」「中銀の買い」などのキーワードが並んでいました。
What Just Happened
本日明らかになったのは、金価格が“次のレジスタンスを試した後”に反落気味の動きを見せている点です。特に米ドルの強さが金にとって逆風となっており、「ドル高=金安」という構図が改めて意識されています。市場では「金は長期上昇トレンドにあるが、短期的にはオーバーボート(買われ過ぎ)懸念あり」といった声も増えてきています。 私自身、10年以上にわたってコモディティ市場を追ってきましたが、こういう「勢いのあった資産がいったん調整を迎える」局面は、次の波動準備に重要な転換点となることが多いです。
Reading Between the Lines
報道では「金の上昇トレンド継続」が強調されがちですが、私が注目しているのは“需給の細かな変化”です。例えば、アジアでの金地金需要の高まりに対して、米ドル上昇と安全資産回避(リスクオフ)という逆風がぶつかっています。さらに、技術的な観点からは、4,000ドル付近が意識されているレジスタンスあるいはサポート水準となっており、この水準割れが視野に入れば、次の主要なサポート水準(3,800~3,900ドルあたり)まで下押しされる可能性も見えます。
また、金と銀のゴールデン/シルバー・レシオ(gold-silver ratio)が過去平均より開いている点も「銀には割安観がある」という観点で注目しています。

Trading Takeaways
実務的な観点からの示唆として、次のようなことが言えます:
- 金ロング戦略:4,000ドル付近でのレンジ形成を確認し、割れなければ反発を狙いたい。ただし、ドル高・利回り上昇環境では逆風。
- 金ショート戦略:4,000ドル割れやドル指数の反発が明確になった場合、短期の反落を狙った戦略も検討に値します。
- ポートフォリオ:金を「分散・安全資産」と捉えているならば、上昇余地だけでなく調整リスクも念頭に置いたヘッジが重要。
Looking Ahead
来週~月末にかけて注視したい材料としては、世界ゴールド協会(WGC)の需要統計、米長期金利の動向、そしてドル指数の動きです。もし米長期金利が上昇し、ドルが再び強くなれば、金価格は一時的に3,800ドル台に試される可能性もあります。一方で、インフレ懸念が再燃すれば、4,200ドル超のトライも視野に入るでしょう。私はこの「調整の後の再トライ」にこそ新しい波の芽があると考えています。
