原油を中心とするエネルギー・コモディティ市場では、2025年後半に向けて「供給超過」のシナリオが次第に市場心理を支配しつつあります。私自身、過去20年にわたりエネルギー需給の転換点を見てきましたが、今回ほど供給サイド増速+需要サイド鈍化というセットアップは珍しいと感じています。

What Just Happened

最近、国際機関や調査機関が、原油市場において2025年末~2026年にかけて在庫が積み増しとなる可能性を改めて指摘しました。例えば、International Energy Agency(IEA)は、原油供給が需要を上回る状況が継続する見通しを示しています。この報道を受けて、原油先物価格は一時、5か月ぶりの安値圏に下落しました。

Reading Between the Lines

この動きの本質は「需給ギャップ=構造化された弱気シナリオが市場に浸透し始めた」という点です。目先では地政学リスクやOPEC+の削減期待などがサポート材料となりましたが、裏では非OPECの増産体制=米国・ブラジルなどの生産拡大に伴う供給底上げが進んでいます。つまり、「一時的なリスク買い」で価格が持ち上がっても、根本的な耐え方が弱いということです。トレーダーとしては、この“背後にある供給増+需要鈍化”に注目すべきです。

Trading Takeaways

  • 原油(例えば Brent 先物)を取るなら、反発局面を「戻り売り」の機会と捉える視点を持つべきです。60ドル台半ばから下方向試す動きにも備えたい。
  • エネルギー関連株/ETFs をチェックしているなら、“原油価格下落リスク”をポジション設計に反映させましょう。
  • 備えとして、原油以外の関連コモディティ(金属、穀物)も“弱気転換の波及”を意識します。実際、World Bankが「コモディティ価格は2026年に6年ぶりの低水準に達する可能性」という見通しを出しています。

Looking Ahead

私の仮説としては、2025年末~2026年前半にかけて原油価格が再び60ドル台前半~50ドル台への下押し圧力を強める可能性があります。唯一のブレークポイントとしては、OPEC+が急遽大幅な生産削減を断行するか、需要サイドで本格回復(中国経済回復など)が確認されるかですが、現状では後者の確度は低めです。来月の在庫統計・米シェール状況には注目しています。